飲食店従業員の受動喫煙:平成21(2009)年度の研究成果 |
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目的:1)飲食店従業員が高い濃度の受動喫煙に職業的に曝露されていること 2)区域分けのみの対策、部屋として隔離した対策をとっても、受動喫煙を完全に防止することは出来ないこと、 について客観的なデータを示すことにより、飲食店などのサービス産業も完全禁煙にする必要があることを政策決定者、サービス産業の経営者、そこで働く従業員に提示する。 |
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方法: 1)日本製の装着型粉じん計(柴田科学、PDS-2):数ミクロン以下の吸入性粉じんを測定 2)TSI社製(SidePak AM-510):直径が2.5ミクロン以下の微小粒子状物質(PM2.5)を測定 |
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結果1)喫煙専用室で併行測定をおこなったところ、2種類の粉じん計の測定値は良好に一致した。 |
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そこで、喫煙区域と禁煙区域の定点測定はAM-510で評価し、個人曝露はPDS-2で評価することとした。 |
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結果2:喫煙区域と禁煙区域のあるファミレスの調査結果 | |
喫煙区域中央のテーブルに粉じん計、白い服の店員さんが粉じん計を装着。 |
禁煙区域の中央のテーブルにも粉じん計 |
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胸元にペンダント型粉じん計 |
注文を取る際など喫煙者の近くに立った場合、テーブル上の灰皿から立ち上る副流煙や喫煙者が吐き出す呼出煙の直撃をうける。 |
解説: ・喫煙区域のタバコ煙は数分送れて禁煙区域に拡散。 ・従業員が喫煙区域にいるときには受動喫煙の濃度は高く、禁煙区域に居る間は低い ・喫煙区域の中央で測定された平均的な濃度よりも数倍高い個人曝露を受ける なお、このファミレスはこの測定がおこなわれた直後の2010年2月より、全席禁煙となった。 |
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結果3:喫煙区域が壁で隔離された純喫茶の調査結果 | |
禁煙区域 |
喫煙区域は壁で隔離されているが、ドアはないため、煙は禁煙区域に拡散してくる。 |
グラフの解説: 1)喫煙室のタバコ煙がドアのない出入口から禁煙区域に拡散 2)従業員は喫煙室に立ち入る度に高い濃度の受動喫煙 3)喫煙者の近傍で接客する際には喫煙室中央で測定された濃度よりも数倍高い受動喫煙の曝露あり |
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結果4:個室の宴会担当者の受動喫煙 | |
某ホテル、座敷の宴会。15名のうち6名が喫煙。 |
仲居さんの胸元に装着型粉じん計 |
グラフの解説: 1)個室の座敷とフロントロビーは離れているので影響なし (19:55〜20:05のロビーの粉じん濃度の上昇は玄関先の喫煙コーナーからの逆流) 2)従業員は宴会場に立ち入る度に高い濃度の受動喫煙 3)喫煙者の近くで働く場合には、さらに高い濃度の受動喫煙の曝露あり |
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