わが国の今後の喫煙対策と受動喫煙対策の方向性とその推進に関する研究

ホテルの管理者にお勧め。受動喫煙のない快適なホテル経営のポイント。

 京都市内の71ホテルの調査から得られた優良な対策事例集。2008.1.21.作成

       (iPhotoから高画質、500ピクセルで書き出し、そのままリンク)

禁煙ルームの割合:もちろんなるべく多い方が良いです。

150室中の150室がが禁煙

(=100%)のザ・パレスサイドホテル

関西セミナーハウス

客室28室の100%が禁煙ルーム。ロビー、喫茶、食堂、イベントホールなど全て禁煙。灰皿は屋外のみ。「屋内禁煙」であることをしっかり掲示され、素晴らしいホテルでした。

「タバコの自販機も撤去しました」←素晴らしい!!

コープ・イン・京都は108室中、72室(=67%)が禁煙ルーム。

レストランPATIOは終日全席禁煙。フロントロビーには部屋として隔離された喫煙室があり、滞在中にタバコの臭いを感じることはほとんどありません。

   
フロントロビーをタバコの臭いがしない真の意味で全面禁煙とするために。
ポイント1:フロントロビーに連続する空間は全て禁煙とすること。

良好な対策:

某チェーンホテルは、フロントロビーは完全禁煙、空間として連続するエレベーターホールも禁煙、出入口にも灰皿無し。全くタバコ臭くありません。これが、理想の対策です。

ただし、ロビー内に禁煙であることを示すサインがありませんでした。もし、下のような健康増進法の主旨を添えた禁煙のマークや表示があれば完璧です。

優良な対策:

三井ガーデンホテル京都四条のフロントにあった禁煙サインです。

ロビー内は完全に禁煙で、全くタバコの臭いがしませんでした。

優良な対策:

パレスサイドはどのテーブルにも禁煙サイン。フロントロビーと空間が連続しているレストラン「フェルマータ」も終日禁煙。出入口の灰皿もなし(ただし、フェルマータの屋外席の灰皿がなければ完璧)。

優良なフロントロビー:平安会館(御所のとなり)

フロントロビーと空間が連続する場所は全て禁煙。全くタバコの臭いなしの快適空間。

優良なフロントロビー:

ゆうりぞうと京都洛翠

2年前からフロントロビーと連続する空間は全て禁煙。出入口にも灰皿無し。

2007年12月にはタバコの自販機も撤去しました。空気の澄んだ優良なホテルです。

次善の対策:フロントロビー

「喫煙する人もお客様で閉め出すわけにはいかない」という考え方も現時点では仕方ありません。

ホテル日航プリンセス京都のフロントには収納スペースを改造した喫煙室が2005年以前からあります。レストランも全席禁煙として、受動喫煙対策に積極的に取り組んでいますが、吹き抜けの2階の部分にある喫煙コーナーが残念。

次善の対策:フロントロビー

コープイン京都は2006年にロビーの一角にガラス製の壁で仕切った喫煙室を設置。

ただし、喫煙室内部には空気清浄機があるため、誰も喫煙していないのにタバコ臭あり。

空気清浄機を撤去して、排気を強化するようにアドバイスしました。

次善の対策:共有スペースに喫煙ブース

ザ・パレスサイドホテル

2階の共有スペースの一角に小型換気扇を備えた喫煙ブース。ドアではなくスクリーンを使用しているので、漏れは少ない。下の写真のようなドアをつけるよりもずっと効果的。

次善の対策:共有スペースに喫煙室

コミュニティ嵯峨野

2階の喫煙室。

ただし、内部の換気扇は直径20センチの小さな排気しか設置されていないため、喫煙室の周囲への漏れを防止するには不十分。

ポイント2:

出入口に灰皿を置かないこと。

出入口で喫煙を行うと、タバコ煙がロビーに逆流します。

 

ザ・パレスサイドホテル(100%の客室が禁煙ルーム)の出入口には灰皿を置かないことは、きれいな空気のフロントロビーのために必須です。

不十分な対策1:空気清浄機を置くこと。

せっかくフロントロビーを禁煙にしても、その一角に空気清浄機があったのでは対策したことにはなりません。

このホテル以外にも3カ所ありました。

産業医科大学ではこのような空気清浄機が役に立たないことを証明していますのでご覧ください(リンク先の下の方)。

不十分な対策1:空気清浄機を置くこと。

このホテルは1階ロビーが禁煙、レストランも全て終日禁煙と良好なホテルなのですが、2階のレストラン前に置いてある空気清浄機だけが不十分な点です。繰り返しますが、空気清浄機を置いても何の解決にもなりません。吸い込み能力が低い上に、有害物質のほとんどが素通りして排気口から出てきます。

不十分な対策1−1:

ロビーの目立たないところに灰皿が一個。

屋内で喫煙することはもちろん不可ですが、目立つ場所に空気清浄機を置くよりも、隅っこに灰皿を置いておくだけの方が被害は小さいです。この場合、喫煙が行われても30分もすれば煙はなくなりますが、空気清浄機は動いている限り、フィルターに付着したヤニに風が当たることで、有害なガス成分が発生し続けるからです。

不十分な対策2:吹き抜けをとおして喫煙場所と連続していること。

このホテルは非常に熱心に受動喫煙対策に取り組んでいますが、吹き抜けの2階の喫煙コーナーがフロントに連続しています。この点以外は優良ホテルなのですが・・。

類似のパターンは多数ありました。

不十分な対策3:出入口の外に灰皿を置くこと。

ロビーは禁煙なのですが、出入口のすぐ外に灰皿があります。屋外から吹き込む風の流れにより大量の煙が屋内に流れ込んできます。

このホテルは禁煙ルームの割合が高く、優秀なのですが、出入口の灰皿が惜しいです。

不十分な対策3:出入口の外に灰皿を置くこと。

「歩きタバコでホテルに来た人が吸い殻を捨てるために」といいう意図なのはわかりますが、この場所で立ち止まって喫煙することを止めることは出来ません。かえって出入口での喫煙を助長する結果となります。この灰皿がなければ、自分が泊まっている喫煙室で喫煙するでしょう。

不十分な対策3:出入口の外に灰皿を置くこと

 

冷暖房が逃げないようにドアを二重にします。内ドアと外ドアの間の空間を風除室といいます。この風除室に灰皿を置いた場合、大量の煙が屋内に流れ込んできます。準屋内も禁煙としなくてはなりません。

出入口の次善の対策:

出入口とは離れた場所に灰皿を置いたホテルです。写真の一番奥に見える出入口とは100m近く離れていました。

ただし、屋根に覆われていますから、灰皿が風上になれば、出入口まで煙は漂うでしょう。

もちろん、ベストは出入口には灰皿を置かないことです。

出入口の次善の対策:

上のホテルの左側半分です。画面の中央、一番奥の所に灰皿が3本立っています。

ドアマンの立っている場所が出入口ですから50メートル近く離れているでしょう。

ベストは灰皿を置かないことですが、この位離せば、受動喫煙の曝露濃度は低くなります。

サインに関する優良な事例:

新・都ホテル:

サウスウィングのエレベーターのボタンの横には禁煙フロアのマークがついています。サウスウィングは客室の8割が禁煙ルームでした。

エレベーターを降りると、平面図にもしっかり禁煙マークがありました。
   
   
   

京都全日空ホテル:

この2年間でもっとも受動喫煙対策を推進したホテル。

当初よりロビーには灰皿がなかったが、奥に見えるラウンジの一部が喫煙席であったため、フロント全体がわずかにタバコ臭かった。しかし、今ではタバコ臭ゼロ。

ANAホテル

左に見えるカフェレストラン コージーも終日全席禁煙。

右側に広がるティー&カクテル  コトラウンジも終日全席禁煙。

ANAホテル

このようなフロントロビーに連続する空間が全て禁煙化されたことにより、ホテルの印象は飛躍的に改善しました。

ANAホテル

日本料理 雲海も終日全席禁煙化。

2年間でもっともタバコ対策が改善したホテルです。

   
   
   
   

残念ながら・・

空気清浄機を開放空間に設置する、という対策は有効ではありません。

せっかくロビーラウンジを全席禁煙にしたのですが、空気清浄機の排気がタバコ臭いためロビー全体にタバコ臭がしました。

残念ながら・・

空気清浄機を置くだけ、というのは対策としては誤っております。

特に、この場所は階段部分であり、このフロアだけでなく、一つ上のフロアまでタバコ臭くなってしまいます。

繰り返しますが、空気清浄機はタバコの有害成分を除去できません。引き合いに出して申し訳ありません。

このホテルは2006年以降、バー以外のレストランを終日禁煙として

残念ながら・・

これでは対策になりません。

臭いを防止する、という観点からは、空気清浄機を置かない方が得策です。

残念ながら・・・

これも対策したことにはなりません。

残念ながら・・・

手前半分は禁煙席ですが、鴨川が見える奥半分は喫煙席です。

空間が連続している場合、受動喫煙を防止することは出来ません。

 

いまだにこのようなホテルがあることは残念です。

狭いフロントロビーの空間に灰皿が2つ。

利用者の受動喫煙は短時間ですみますが、この場所でずっと働いている従業員がタバコの煙を長期間にわたって吸入して病気になるのではないか、と心配になります。

   
   
   
   

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